こんばんは、です。
いや、こんばんはなんて言っても、今が本当は何時なのか実はわからないんですが。
だって、この建物の周り、
来たときからずっと真っ暗だったし。
―STAGE2
「はどちらから来たんですか?」
私を案内しつつ、前を歩いているこの白髪の少年はアレンという名前らしい。
そして、色々あって迷子の私をなんとか受け入れてくれた(というか、無理矢理入り込んだが正しい)
この場所は「黒の教団」。
「黒の」ってなんかなー、名前もなー。
めっちゃ悪の組織じゃないか。
「どちらからって…」
「はい。この辺にはこの建物以外はないし、遠くから来たのかなーって」
「あ、う、うん、そう! うーんと…あっちの辺から?」
「適当に言ったでしょ、今」
ははは。速攻バレた。
でも、自分でもよく判らないんだからしょうがない。
落とし穴に落ちたら、見知らぬ土地にいたんです。
なんて正直に言った日には、怪しまれるか良いトコ可哀想な目で見られること必死である。
何処から来たのか判らない、なんて、タダでさえ不審人物きわまりないしね。
だから、私は嘘のない範囲で適当に答えるしかないわけで。
「それが、迷子になっちゃって…自分でもよく判らないんです」
「迷子ですか…。それは大変でしたね」
私の苦し紛れの適当な答えにも、本当に心配そうにそう返すアレンにちょっと罪悪感。
うう、良い人だなー本当に。
しかも、可愛いし。(関係ない)
いや、同い年くらいの男性に可愛いは失礼なんだろうか。
まあ、とにかく、何処から来たのかとかそういう話題は非常にまずいので、今のうちに別の話題を振っておかないと。
「ところで、今って何処に向かってるの?」
「あ、はい、まずはこの教団の室長のところまで案内します」
「室長?」
「本当はいつもだったらこういう案内をする方は別にいるんですけど、彼女、今、任務中で出掛けてて…」
任務…?
なんかますます悪のヒミツ結社っぽくね?
「しかし、広いね〜ここ」
「未だに僕も迷いますよ。この前なんて自分の部屋に戻るのに1日掛かっちゃって」
「いや、それは迷いすぎだろ」
ここに住んでんじゃないのかよ。
私もちょっと方向音痴の気があるけれども、そこまでではない(と思いたい)
「はは。他の施設とかもあとで案内しますよ。…と、着きました。ここです」
どうやら色々と話し込んでいるうちにどうやら目的の場所に着いたらしい。
ここが室長とやらが居る部屋?
室長というのが、一体どれくらいの地位の人なのかイマイチピンとこないけど、流石に室「長」というだけあって、偉い人なのだろうか。
扉が無駄に大きいし。
ああ〜、なんか今になって緊張してきた!!
ど、どうしよう、敬語とかうまく使える気がしないよ!?
こういうときのために何か使える一発芸とか覚えとけば良かった!
私の緊張を知ってか知らずか、扉をノックしてそのまま扉を開けてくれるアレン。
おう。紳士…!
そんなことされるのは慣れてないもんだから、暫く固まってしまってアレンに不思議そうな目で見られた。
無駄にヘラヘラしてしまう自分が相変わらず挙動不審でごめんなさい。
いや、そんなことはどうでもいい。
そうして、緊張のまま扉をくぐった私の目に飛び込んできた光景は…
広い部屋に広がる、足の踏み場もない書類の山だった。
何コレ。
「はい、どーもぉ。科学班室長のコムイ・リーでっす!」
軽!!!!
室長というからどんだけ厳つい髭の人が来るのかと思ってたら、なんだか予想外に軽い人が来たよ!?
メガネに白衣のようなコートを着ているその人は、よく見ると整った顔をしているけど、その雰囲気も覆すくらい口調が明るい。
しかし、背高いなー。
私もそんなに背が小さいほうでもないと思っていたけれど、話をするのにも見上げないといけないし。
ちょっとした小人気分だ。
「ど、どーも…あ、いや、こんばんは、 で、ございます…」
敬語にさえならなかった。
自分で自分にガッカリだ。
「歓迎するよ、ちゃん。いやぁ、さっきは大変だったね〜」
「誰の所為ですか」
アレンの容赦ない突っ込み。
って、ことはさっきのポニーさん(結局名前は名乗ってくれなかったからまだ仮称)を差し向けたのってこの人なのか…。
こんちくしょうめ。
「だって、門番はイジケちゃって身体検査してくれないし、リナリーはいないし。
他のエクソシストも皆出払ってたから仕方なかったんだよ〜」
「仕方ないで刀向けられたんですか、私は」
「まあまあ、結果的に生きてたんだし。結果オーライってことで♪」
「無駄に軽いな!」
ねぇ、この人…本当に偉い人?
隣をみれば、アレンも呆れたような目でこちらをみていた。
ああ、これ、いつものことなんだ。
「ところで」
コムイさんの口調が軽いものから突然、真面目に変わった。
な、なんでしょう?
「ちゃん。エ ク ソ シ ス ト なんだってね」
あ、やっぱりそういう流れになりますよね。
来た。
つ い に 、この話題が…!!!!!!
きてしまった。
そうですよ。
私。
めっちゃ嘘ついてこの場所に入ったんだった。
アレン少年の物腰柔らかな案内や、コムイさんの軽いノリにすっかり流されるとこだったけど、
もしかしなくても、今、ピンチってヤツでしょうか。
いやあ違うな、自業自得ってやつか。
人間、悪いことはそうそう出来ませんね!
「ソウミタイデスネ」
「寄生型?…それとも装備型なのかな?」
き せ い が た ?
そ う び が た ?
どうしよう。また謎ワードが出てきたんですけど!?
寄生…は判らないけど、装備(?)しているものってったら…えっと、持ち物、持ち物。
…今着ている制服に、この通学かばんの中に入っている携帯電話と昼の食べ残りのコッペパン(食えよ)と…
あー後、何持ってたっけ?
コムイさんの方をちらりと見るとメガネを超光らせてこっちを見ている。
あああ。
おおおお。
わわわわわ(落ち着け)
そうして、私が見た目にも判りやすいようにうろたえていると、ため息をついたアレンの声が聞こえた。
「…コムイさん。そろそろをからかうのは止めてください」
「あ〜ごめんね。つい、楽しくて」
へ…?
か、からかう…?
「。もう、大体、わかってますから…正直に言っちゃったほうが楽ですよ」
「しょ、正直に…って…?」
「本当はエクソシストじゃ無いんでしょ? 」
あまりの事に私が固まっている前で、そうアレンが苦笑しながら言う。
バレバレでしたか。
「なっ…知っててからかってたんですか?」
「いやあ、だって、あんなにキッパリハッキリ「エクソシストです!」って宣言してくれちゃったからにはね〜」
「くっ…!」
その場面を思い出したのか、笑いをこらえるように言うコムイさん。
しかし、わたくし、それを言われると何もいえません。(弱)
くっ…笑いたければ笑うがいいさ!
しかし、そうなってくると気になるのが、
「じゃ、なんでここに…」
「あ〜。神田くん…あ、さっきキミを出迎えた彼ね。との対応とか反応とか見てね。まあ、他に嘘はついてないみたいだったし。
これはまあ、本気で迷子かな〜と。流石に、何も迷子の女の子を崖に突き落とすのもねぇ?」
笑顔でさらっと怖いこと言わんでほしい。
しかし、まあ、助かったのも事実で。
ここは素直に感謝しないと。
「あ。ありがとうございます…?」
しかし、同時に命の危険も味わったのでやや疑問系。
いくらなんでも突然刀はなかろうよ。
どこの時代劇だよ!
くそう、そういえば、あのポニーさんは何処に行ったんだろう。
「まあ、ここも今はちょっと立て込んでてね、今すぐは無理なんだけど。保護して家に届けるくらいは面倒見るよ」
そのコムイさんの言葉に安堵したのもつかの間、次の瞬間我にかえった。
家…?
そうだ!
真菜!!!
一緒に飛ばされたかもしれない真菜を置いて家に帰れないよ!
てか、うっかり置いて帰ろうもんなら、後で凄い目にあわされそうだし。
「あの! この近くに私と同じような格好した女の子いませんでしたか?」
「女の子?」
「はい…一緒に来た…かも、しれないんですけど」
本当は、はっきり来たのかはちょっと微妙だけど。
落とし穴に落ちたときは、私の方が先を歩いていたから。
しかし、唯一の落とし穴メイツだから、可能性は無いとも言い切れない。
「う〜ん。何も聞いてないなぁ。アレンくんは? 何か聞いてる?」
「いえ。何も」
そういって、お互い首をかしげるコムイさんとアレン。
この狭い敷地内で、住んでいる人間が見ていないということはきっと居ないんだろう。
もし、ここに来ていたとしたら、この建物しか身を寄せる場所はないし。
て、ことはいないんかねー?
まあ…何かに巻き込まれてない限り、ひとまず一安心…
じゃ、ねぇよ。
私はここに来て、また新しい問題にぶち当たってしまった。
一人じゃん!
私、思いっきり一人じゃん!
見知らぬ世界に一人きりじゃん。
ロンリーウルフじゃん!!?(謎)
ああああ。
実はちょこっと…というか大分前からというか。
おかしいな、とは思っていたんだ。
もしかして…って、…何か…言うのもはばかられるけど…
どうかこれを聞いても私を変な目で見ないで欲しい。
か、可能性の話だからね!? ちょ、ちょっと思っただけなんだからね!?(ツンデレか)
ここは。
…ここは私の常識とはちょっとだけ違っている世界なんじゃないかって。
だって、さっきのポニーさんの刀とか光ってたし!?
おかしな空飛ぶ電話はいるし(あれはゴーレムと言うのだと、さっきアレンが教えてくれた)
アクマって何? エクソシストって何? 私の知っている教会と同じでいいの?
何より「黒の教団」なんておかしな組織聞いたこともない。
もしかして、私が知らないだけでどこかの外国なら常識なのかもしれないけど、
それにしたって、落とし穴に落ちて次の瞬間、知らない国でした、って。
何処の世界のどこでもドアだよ!
「? どうしたんですか?」
突然、部屋の真ん中でうずくまってブツブツ言い出した私にアレンが心配そうに声を掛けてきた。
「いやあ、ちょっと…改めて孤独をかみ締めてたっていうか…」
「孤独…?」
「思えば遠くにきたもんだ、と」
「ちょっ!? そんな遠い目で遠くを見ないで…!」
「あれだよ、これって今気付いたけど、流行のあれじゃない?
ナウ(古)なティーンズに判りやすくいえば、ブ●イブストーリーみたいな?」
「ぶ、ブレイブスト…ってなんですか?」
「いわゆるファンタジー冒険活劇っていうの? ふふふ。時代先取り? いや、後取り?」
「落ち着いて! なんだかさっきから「?」ばっかりですよ!」
「知ってる? ウェ●ツ瑛士って、昔、教育番組のドラマに出てたんだよ」
「ー! お願いだから、戻ってきて!!」
戻りたくても戻れないんだよ!
と、アレンを見れば、結構本気でおびえているようである。
あ、ちょっとやりすぎた。
「まあ、しょうがないよね」
「びっくりするほど立ち直り早いですね」
任せて。
諦めも根性も悪いけど、立ち直りの早さだけは自信があるよ!
とまあ、冗談はこれくらいにして。
一通り混乱したら、混乱を通り越して逆に冷静になってきた。
ここで、今、どうにもならないことを悩んでもしょうがないし。
私はいつも、本当に悩んでもしょうがないことはそれ以上悩まないことにしている。
時間も勿体無いし。あんまり悩みすぎるとハゲるからね!
「まあ、とにかく。キミも暫くはここをホームだと思ってくつろいでくれていいからね」
大物なのかまたはどうでもいいのか。…後者の可能性が大。
おかしな私の様子を気にせず(多分)にコムイさんもそういってくれたし。
ああ、さりげない優しさが身に染みる。
さっきは、大丈夫なのかこの軽い人が室長で、とか思ってごめんなさい。
「お、お世話になります…」
ともかく…こうして私のおかしな生活はスタートを切った。
…なんて順調にいくわけもなく。
「コムイ兄さんーーー? いるのーーー?」
「あの声は…?」
「あ、おかえ…」
「リナリィィィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
お帰りぃぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
「うおぉぉう!!!?」
突然、別の場所から聞こえてきた声の方へ凄い勢いで飛んでいくコムイさんにびっくりして、
思わず変な叫び声をあげてしまった。
「リナリーが傍に居ない間、お兄ちゃん、すっごく寂しかったよぉぉぉぉぉ!!!!!」
「うわあぁ………」
あ、そのまま扉へ文字通りすがりついた。
なんていうか…なんだこれは。
「すみません…。コムイさん、妹のリナリーが絡むといつもこうで…」
唖然としていると、しょうもないなーという表情を隠すまでもなく、目の前の出来事をアレンが説明してくれた。
て、ことはあれか、今の声の主が妹さんか。
シスコンもここまで来るとちょっと面白い。というか、通り越してすこし怖いくらいだな!
「兄さん…居ないっていっても、たった2、3日だけだったじゃない…って、あら?」
「お客さん?」
事態の急展開に動けないでいると、その妹さんのほうからこちらに気付いてくれたらしい。
小走りでこちらに近づいてくるその姿は…。
おおおお!!
なっ!
「美、美少女!!!」
それはもう、自分だって同じ性別、同じ年くらいのはずなのに、もう骨格からしてつくりが違うんじゃなかろうかというくらい。
美少女なんてもんじゃないよ!
人類の宝だよ!!?
顔小さいよ、足長いよ、二つに括った黒髪がつややかだよ。
突然の美少女オーラにやられて何もいえない私に、アレンが紹介をしてくれる。
「あ、。こちら、室長助手兼エクソシストのリナリーです」
「はじめまして」
こちらに向かってエンジェルスマイル。うんわ。笑顔がまぶしっ!!
「は、はじめまして」
「そして、こちらが…えっと」
「駄目駄目な経緯でこちらにお邪魔することになった、 です」
よく考えなくてもろくでも無い紹介にしかならないので、人に言われる前に自分で言うことにした。
小さな子供でもあるまいし、迷子のです。じゃ、あんまりだ。
「だ…?」
「うん。ちゃん、迷子なんだって。行く当てもなさそうだし、暫く教団で預かることになったから、よろしくね」
迷子って速攻バラされたよ、おい。
しかし、この人は相変わらず軽いな。
「そうなんだ…」
微妙な表情で見られた。まあ、みるからに怪しいからね、迷子だしね。(自分で言う)
「教団には同い年の女の子が少ないから、嬉しいな。暫くの間、よろしくね。…ってよんでもいい?」
「超オッケーです」
「何か僕たちのときと対応が違いすぎません?」
「超気のせいです」
あ、いけない、いけない。つい興奮してしまった。。
アレンの方を見ると何か可哀想なものを見るような目でこっちを見ている。
…ちょっと自重します。
「いやあ、あの時は状況が状況だっただけに騒ぐ時間もなくて…ってか、大丈夫、君も充分可愛いから!」
「それ、全然嬉しくありませんよ」
リナリーばかり愛でるのもどうかと思って、折角、アレンにも話題を振ったのに、一言で切り捨てられたよ。
どうしろってんだ、まったく。
「ところで、リナリー。イノセンス回収の任務はどうだったんですか?」
「あ、当たりだったわよ」
「本当かい? リナリー」
「ええ、コムイ兄さん。その報告をしに帰ってきたんだったわ。
これなんだけど、今、ヘブラスカのところへ持っていこうかと思って…」
リナリーはそう言って、コートのポケットから何かを取り出した。
彼女の手の平に収まる、ガラスの瓶らしきものに入ったもの。
何だろう、あれ。
青白く光るそれを何気なく見て…
!!!!!?
え?
その瞬間、ぐらりと地面がゆれた気がした。
じ、地震??
つ、机の下!! は、書類に埋もれてて机が判らないので無理だし!!
って、そこで改めて周りを見回して愕然とした。
何でみんな平然としてるの?
あれ? 地震国家日本に生まれた私がこんなに慌てるほどの大地震なのに!?
そして、また立て続けに来るぐらっと足元から崩れる感覚。
な、何?
例えていうなら、何だ。
エスカレーターに乗りそこなったみたいな、ヒヤッと感っていうか!(緊張感を持とうよ)
ど、どうなってんの、コレ!!?
そう、焦ってふと目を上げた瞬間飛び込んできたのは。
さっきまでリナリーが手に持っていた物体Xが、凄い光を放って此方に飛んでくる光景。
と一緒に、一斉にこちらを見る、皆の驚いた顔。
え。
あ、確実にぶつかる。
そう思ってとっさに目を硬く瞑る。
手は無意識にバレーボールの受身の形に(意味ねぇ)
あれだね。人間、いざというときのとっさの判断ってよく判らない行動をとるよね!
今思えば避ければいいものを、ともかく、多分、すぐにやってくるはずの衝撃に備えて、少ない時間でありとあらゆる準備をする。
あああ、せめて思ったほど痛くありませんように…!
どうして、どんな理由で飛んでくるのか判らないけど、あの物体が見た目に反して柔らか材質だったらいいのにな!
だってどうみても顔面に向かって飛んできてたし、
鼻血とかマジカンベンして欲しい。
「き、消えた…?」
どれくらいの時間がたったのだろうか。
誰かの呆然としたような声で我に返った。
閉じた目を恐る恐る開けると、心配したような事態は少しも起こらなかったことにとりあえず安堵する。
「な、なんだったんですか、あれ」
「こっちが知りたいわ」
「イノセンスが…消えた…? いや、彼女の中に入った…?」
こちらを見て真剣に何か呟くコムイさん。
あ、この人、真剣な顔すれば案外格好良いんだな。さすが、リナリーの兄さん。
「大丈夫ですか…? 」
先ほどからのあまりの出来事でやや現実逃避気味の私に、アレンがそっと労わるような声をかけてくれた。
うん、大丈夫といえば、大丈夫なんだけど。
大丈夫なことが逆に不安というか。
「だ」
ひとまず心配させまいと、普通に答えようとして、そこで、
本日三度目になる浮遊感がまた。
おかしいな。
私、学校に行ってたときは朝礼でバタンバタン倒れたりするようなこんな虚弱体質な子じゃなかったのに、一体どうしたんだ。
あ、もしかしておなか空いてんのかな。
そういえば、昼のコッペパン…
最近、校舎裏に住み着いたネコにちょっとあげようかなーとか、考えて、結局、そのネコに逃げられたんだっけ。
ちっ…そんなのはクラスのちょっとワルな不良青年がやってこその萌え行動なのに、
空気読めよ、私。
いや、今はそんなこと考えてる場合じゃないんだ。
ああ、このまま倒れたら確実に顔面からだから…って手も動かないし!?
ああ。
だから、ほんともう。
「鼻血だけはやめてください…」
そう、乙女としてはあんまりな言葉を言い残して。
もしかして、私の願望かもしれないけど、
誰かが抱きとめてくれたようなそんな柔かい感触の後に。
私の意識はふつりと途絶えた。
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◇あとがき◇
あいかわらず長くてすみません。
というか、主人公はもっと緊張感をもったほうがいいと思うよ。
唐突に出てきたイノセンスは唐突に主人公が適合者(?)になりました。
めでたし、めでたし(めでたくねぇー)
(H19.6.20)(改訂:H19.6.21)